Lablog2-17:組換え大腸菌を用いたDO-stat流加培養による効率的単鎖抗体生産

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Date: 2023-03-16

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Presentation style

Authors

Daisuke Yamaguchi, Yoichi Kumada, Jun-ichi Horiuchi

Speaker

Daisuke Yamaguchi

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Questions and answers

・DO-stat流加培養では、どのようにDOを一定に保っていますか。
→基質の流加を制御する事で、培養中のDOを一定に保っています。基質の流加後、大腸菌は基質の消費と共に酸素も消費する事で、DOは減少します。基質が消費されると、大腸菌による酸素消費が止まり、通気によりDOは増加します。このようにしてDOを一定に保っています。

・菌体外生産を可能とした理由として、最も重要な点はどこですか。
→pelB leaderの導入及びDO-stat流加培養による培養時間の長時間化の2つを同時に行った点が重要だと考えています。pelB leaderを導入していないscFvをDO-stat流加培養により生産したところ、培養液上清中にscFvが見られなかったことから、ペリプラズム分泌シグナルの導入が菌体外生産には重要です。また、実験結果からも分かるように、培養中期から後期(60h~100h)に、菌体外生産が行われていることから、長時間高密度培養を継続できるDO-stat流加培養法も菌体外生産に寄与していると考えています。

・なぜ、scFvのアミノ酸配列を一部除去して検討を行なっているのか。
→本研究で使用したscFvにのみ含まれているアミノ酸配列であったため、これらを除去して検討を行いました。他のscFvには含まれない特定のアミノ酸配列を除去する事で、種々のscFvとの比較が容易になると考え、アミノ酸配列を除去しました。結果として、除去したアミノ酸配列が菌体外生産性に影響を及ぼす可能性が示唆されています。

・DO値を変えると、なぜ菌体濃度が変化しているのか
→(dc/dt=OTR-OURの式を見ながら) DO値を変化させることで、OTRが変化します。その結果、基質の流加速度(流加量)が変化するため、菌体濃度が変化しています。

・プラスミドの保持率が減少していく理由をもう少し詳しく
→一般的に、IPTG添加後に大腸菌の代謝負荷が大きくなり、プラスミドが脱落しやすくなります。その際、アンピシリンがあれば脱落した菌は増殖を防ぐことができますが、本研究では長時間の培養によりアンピシリンを不活性化するβラクタマーゼが多く蓄積していると考えられます。そのため、IPTG添加後、培養中期から後期にかけてアンピシリンが不活性化した状態でプラスミドを持たない菌体が増加する事でプラスミド保持率が減少していると考えています。

・DO値の影響を検討した理由
→scFvの生産量及び可溶化率が変化するのではないかと考え、検討を行いました。DO設定値が大きくなれば、基質の流加量は小さくなるため、菌体濃度が減少しscFv生産量に影響すると考えていました。また、ジスルフィド結合を有するscFvがより酸化的な状況では可溶性が上昇すると考えていたため、DO値がscFv生産に及ぼす影響について検討を行いました。

・DO値40~60 %でscFvの効率的生産できるなら、PID制御でDOを正確に維持しなくても良いのではないか。(DO値を変化させた理由に追加で)
→DO値を正確に維持する事で、培養槽内の基質濃度を低く維持できるため、DO値の安定な制御が重要となります。ON/OFF制御のような流加方法では、基質濃度が高い状態が続くことで、scFv生産に悪影響を及ぼす酢酸が培養中蓄積すると考えています。

・アミノ酸配列を変えた結果、菌体外生産性に変化が出た理由は。
→はっきりとした理由はまだ分かっておりません。理由として、scFvの等電点が6.35から6.86に変化した事が原因であると考えています。pI 6.35ではscFvは負に帯電しており、同じくマイナスに帯電している大腸菌の外膜と反発する事で、菌体外へ生産されやすくなっていると考えています。一方で、pI 6.86となり、中性寄りになることで外膜との反発が弱まり、菌体外へ生産されにくくなったと考察しています。

・フラスコ培養とDO-statでのscFv生産量の比較はなぜ行っている。
→DO-stat流加培養によりscFv生産量が向上したことを示すため、比較を行っています。(フラスコ培養からバッチ培養を経て、DO-statの結果を示した方が良いと思った。)

・プラスミドの保持率を維持する方法としてどのようなものがあるか。
→抗生物質を逐次的に添加する方法や、βラクタマーゼの阻害剤を使用する手法、アンピシリンではない抗生物質耐性を持つプラスミドを使用する手法などを考えています。